贈与税回避事件の解説 最終回 ~租税公平主義と租税回避~

今回の裁判では、前回までのお話の通り、脱税ではなく租税回避として税金を課税することは難しいということになります。課税できないのはおかしいから税金を取るということは税金の世界では難しいのです。

しかし、税金のもうひとつ重要な考え方のひとつとして、租税公平主義という考え方があります。
税金にかかわらず、日本では「法の下の平等」(憲法14条)という概念があります。本来は、税金の払える能力がある方が税金を逃れるのは本来、不平等ではないかということになってしまいます。

よって、最高裁の裁判官も相当判断に悩んだようです。

贈与税を逃れるために海外に移住するのは、税金の払える能力があるのに、課税できないのは、あまりに不公平である。でも、租税法律主義の考え方から(財産権の侵害になるので税金をとるには法律が必要)、課税できず立法(法律)にゆだねるしかない。

と裁判官の一人は意見を述べています。

やはり、財産権の侵害規範としての性格上、このような結論になるのはやむを得ないでしょう。
その点では、この裁判の判決には賛成です。

創業記念日

本日、6月2日は高野事務所の創業記念日です。
3年前の今日、開業しました。

4畳半の自宅(?)と8畳の事務所(?)の自宅兼事務所からスタート。
自宅には冷蔵庫が入り、テレビが入り、事務所には複合機が入り、打合せの机が入り、仕事用デスクが入り…。身動きが取れないといいますか、うまくいったパズルのようにぴったりと入っているといいますか…今では、いい思い出です。

この3年で、公私共に大きな環境の変化がありました。独立し、結婚し、子供が生まれ…。

開業以来、たくさんの経営者の方とお会いし、お手伝いさせていただきました。
独立して改めて思ったのが、人とのつながりの大切さです。決して自分ひとりの力ではなしえませんでした。
開業後1年で事務所を借り、従業員も入社しました。会計事務所未経験でも仕事に対する、お客様に対する情熱がもてる方で、向上心のある方を希望します、という求人をハローワークに出し(笑)、本当にそのようなタイプの方と今、一緒に仕事をさせていただいています(私の見る目があるということにしておいてください(笑))。お客様に恵まれ、従業員に恵まれ、仲間に恵まれ、感謝に堪えません。

いつもお客様に対して思ってるのは、北海道で約2000人もいる税理士の中で自分の事務所を選んでいただいているということです。大変な時代の中、報酬をいただいて仕事をさせていただいている。いつも気持ちはお客様のために全力でがんばろうと思って仕事に当たってきました。どこまで実現できているかわかりませんし、また、もう出来てると思ったらいけないのかもしれません。いつまでも向上心を持ち続けて、お客様に対応していければと思っています(ちょっと力が入りすぎて帯状疱疹になったのも懐かしい思い出です)。

これからも高野事務所をよろしくお願いします。