もう一度ファミコンを攻略する日

 コンピュータゲームの先駆的存在となったファミリーコンピュータ、通称「ファミコン」が発売されたのは1983年のことだ。僕らは「ファミコン世代」と称され、ゲーム世代のはしりとなった。
 それからのコンピュータの発展はめざましく、僕らの生活の一部になった。仕事でもコンピュータは僕らのかかせないパートナーとなった。
振り返ると僕らはコンピュータとどのようにかかわってきたのだろうか。「ファミコン世代」とよばれる僕らの世代でもITリテラシーが高いとはいえないのが実情だ。
僕ら税理士は、税務相談を受けるとすぐに概略や税額、節税対策を示すことができる。これは税法、会計というゲームをひとつひとつ攻略してきたからだ。手書きで概要を説明するのも一瞬だ。ところがその説明資料をつくろうとするととてつもなく時間がかかる。アナログとして頭の中に完成しているものをデジタル化しようとすると頭を抱え込んでしまう。パートナーであるはずのコンピュータが牙を剥き、凶器化する瞬間だ。
 そのコンピュータを真のパートナーとして迎え入れるには、最新のIT、マクロ、RPAなど新しい知識取得や感性を磨く必要がある。ときにはプログラマーとしての側面も必要となるだろう。「自動」という呪縛から逃れ、「ボタンを押す」ことを代わりにしてくれている、そんなコンピュータとの心の協調も必要だ。
IT人材が不足し、中小企業では「ひとり情シス」、「ゼロ情シス」ということばもでてきた。税理士が中小企業をサポートするうえで、ITを活用したサポートが必要な時代の到来である。もはや、税理士もITを避けては通れない。
 ファミコンを攻略し、税理士試験というアナログゲームを攻略し、ここにきて、また、ファミコンを攻略しなければならない時代が近づいている。
それがファミコン世代に生きた税理士に与えられた使命であるかのように・・・

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