不正経理問題

以前、粉飾決算のお話を何日かに渡って書き綴りましたが、不正経理には、①脱税、②粉飾決算、とあと一つ、社長又は、従業員の私的流用や横領があります。連休前の話になりますが、千葉県の不正経理による私的流用が話題となりましたね。国や地方公共団体のこの手の話題が絶えないのはなぜなのでしょうか…。国民が、税金の使い途について、厳しい目を注ぐ中、そろそろ、いい加減にしてほしい思いの方も多いでしょう。

現金はルールを決めて清算し、現金を合わせ、現金支払いがあった場合、その内容を確認する仕組をつくっていますか? 現金管理をしっかりすることは、適正な経理をするためとか、申告を適正にするためだけに限らないわけです。今回の件に見られるように、不正を起こさせないという意味合いもあります。中小企業にとってみれば、むしろ、そちらの方が、重要性が高いとも言えるでしょう。特に、社長借入など、個人と会社のお金の出入りが多い企業は要注意です。

もし、不明な現金が生じた場合、社長は経理の方など従業員をまず疑うことでしょう。そうなると、お互い嫌な思いをするでしょうし、信頼関係も崩れてしまいます。このような状況になるということは、仕組みを作らなかった経営者の責任とも言えるわけです。

私が、以前働いていた税理士事務所の所長がおっしゃっていたことで、とても心に残っていることがあります。犯罪に手を染めるのは、もちろんいけないことだが、犯罪者をつくってもいけない。つまり、目の前に、一万円が、落ちていれば、どんなに善意の人でも、心が揺らいでしまうもの。そのようにならない(犯罪者を作らない)仕組みづくりが何よりも大切であるということですね。

粉飾決算の怖さ その3

今月は、連休もあり、バタバタした日が続いておりますが、みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。新型インフルエンザもとうとう北海道上陸で、猛威をふるってきてますね。自営の人は病気で寝込むことも許されず、とても気がかりですね。

さて、粉飾決算の怖さシリーズ? 最終回です。前回まで、粉飾を決算するとどうなってしまうのかということを書いてきましたが、今回は、粉飾をしてしまったときに直す際のペナルティです。

粉飾決算をしてしまうと、本来赤字であるにもかかわらず、黒字にしてしまうことから本当は払わなくてもいい税金を支払うため財政基盤を弱くする原因となるというお話をしました。では、粉飾をしてしまった場合、後で本来払わなくてもいい税金を取り戻すための手続はどうするのでしょうか。

実は、税法においても粉飾決算には厳しいペナルティを課しています。税法では、税金を取りもどすには、確定申告において正しく経理をして、一定の書類を税務署に提出してくださいと定めています。しかも、その多く払いすぎた税金は、すぐには還付しません、一定期間は、税金が発生する都度、それに充当していきます、という規定になっています。

また、よくあるQ&Aです。

Q 3年前から、粉飾により、正しい決算書となっておらず、その数字で確定申告をしてしまいました。3年前の決算書から正しい決算書に直したいのですが可能でしょうか。

A 過去の決算書は原則として直すことはできません。今、現在の経理で修正することになります。

これは、一般の方からみると、なぜ?と思われると思います。過去に、何度か質問され、答えに非常に難儀しました。ここでは、内容は省略しますが、株主総会を通り、確定申告書を提出した、過去の決算書は、原則として直せないと思ってください。会計と申告書の関係などの知識も必要なので、詳しく知りたい方は声をかけてください…。

粉飾決算をしてしまうと、そもそも、月次決算をはじめとする、経営指標としての機能を全く果たさなくなり業績管理に役に立たなくなります。その意味で、経理をすることも、顧問税理士に頼むことすら無駄なコストとなってしまいます。正しい現状を知ることから、経営改革、意識改革は進むものだと考えましょう。 

粉飾決算の怖さ その2

粉飾決算には、様々な手口があります。まず、最もやっかいなのは、税務署に出す決算書は本来の赤字の決算書で、金融機関に出す決算書は黒字で、と決算書を2つ作るケースです。粉飾決算は、どのようなやり方であってもやってはいけないのは言うまでもありませんが、この決算書を2つ作るというのは、かなり重症の部類です。といいますのは、もう、絶対に2つのつじつまを合わせることはできませんので、いつかは粉飾をしていたことを白状するよりありません。結果、会社の信用を落とすことになってしまうでしょう。

また、ひとつの決算書で粉飾するケース、これも色々と問題がでてきます。ここで、Q&Aです。

Q 粉飾決算をしてしまいました。わからないように、正しい決算書に直すことは可能ですか?

A ほとんどできません。

といいますのは、簿記を知っている方であればわかるのですが、簿記というのは1つの事象について、2面をみるという特徴があります。たとえば、ありもしない売掛金を計上してしまっていて、正しくしようとすると、売掛金をなくするときに、なぜ、売掛金がなくなりましたかということが、経理上問われることになります。普通は、値引きしたのでなくなりましたとか回収が済んだので売掛金がなくなりましたとか、倒産したため回収できなくなりました、と経理するわけです粉飾決算していた場合は、過去にありもしない売掛金を載せたために今、売掛金がなくなりました、と経理することになってしまいます…。

また、単独で、売掛金を2期分の決算書をならべても、極端に増減があると、その時点で疑問に思われます。

前回も書いたとおり、粉飾は百害あって一利なしです。数字をいじりたくなったら、将来の会社や役員の責任に対するデメリットを十分に考えて踏みとどまるようにしましょう。

粉飾決算の怖さ その1

先日、クライアント様を訪問すると、ブログ、全部読み終わりましたよ。その続き、なかなか更新されませんよ(笑) と嬉しい、ご指摘を受けましたので、更新します。

その訪問時、粉飾決算についてのお話をしましたので、そのことについて書きたいと思います。当然ですが、そのクライアント様が粉飾の相談をされたということではありません(笑)

私は、新しく関与させていただく時には、脱税や粉飾決算はどうしていけないのか、脱税や粉飾決算をするとどうなるのかというお話をさせていただくことがあります。今回のお話は、粉飾決算ですが、粉飾決算とは本来の決算書上の数字より、数字改ざんしてよくみせることをいいます。こんな決算書では、銀行に出せない(借入れができない)と数字を改ざんし粉飾決算をしてしまう場合などです。

しかし、本来の決算書の数字に手をつけて借入をしたりすると、もちろん違法行為ですから、その事実がわかると損害賠償の対象となります。さらに、粉飾決算は通常、赤字であるにもかかわらず黒字にしていることも多く、この場合、余計な税金を支払うことになります。本当は、赤字で手元にお金がないにもかかわらず、税金を払うわけですから、これだけでも、企業の財政基盤がおかしくなってしまうのはいうまでもないでしょう。

当然のことですが、資格ある税理士や公認会計士は、粉飾決算はしないですし、当事務所においても粉飾決算の作成相談は禁止事項としています。会社が、違法行為をして社会的信用をなくし、また、余計な税金を払わせ会社の財政基盤がおかしくなることを喜んで引き受ける人はいないでしょう。

また、いったん粉飾決算をしてしまうと、後にも述べますが、粉飾を継続して行うことになってしまい、長年続けると財政基盤もボロボロになってしまいます。このことから、粉飾は○○のようなものという表現があります。あまりに社会的にタイムリーなので伏せ字としましょう(笑) 事前の節税、事後の脱税という言葉もいいましたが、粉飾についても同じことがいえます。毎月、月次決算を行い、業績管理をし間違っても粉飾には手を染めないようにしましょう。

夢に日付を!

今日は、仕事の終わった後、今、正に夢に向かって走りだそうという方が相談のため来所されました。若手の専門家の方なのですが、いいですね、前向きの話は。

やはり一度しかない人生、いろいろなものにチャレンジしたいですね。そのために重要なのは、夢に日付を入れることでしょう。「夢は実現すべきもの。夢に日付を入れて、今日の行動を変えるところから始めよう」とは、渡邉会長の言。いつまでに実現すると明確にすれば、おのずと今やるべきことが見えてくる、とは本当にそうですね。

数字の専門家だから言うわけではないですが、勉強にしても仕事にしても、経営にしても、必ず数字で落とし込むのが何よりも大切なことですね。ただ単にがむしゃらにがんばるより、経営者なら売上をいくらにしよう、営業マンなら契約を何件とってこよう、勉強なら〇級の資格を取ろうなど、数字に落とし込んだほうがより現実な行動に移しやすいでしょう。最近、ウサイン・ボルト選手が100mを9秒58という驚異的な世界新をマークしましたが、これもやはり数字という目標があってこそですね。

さて、私は、色々な勉強をするのも好きで、特に資格は、1という数字にこだわっています。ただ、平成19年に取ったビジネス法務検定試験、これがまだ3級なんですね…。忙しさにかまけて、1級を目指すのが頓挫してしまっています。いつかは、これを1級に…。いや、いつかではダメなんですね…日付を入れなければ…(笑)