粉飾決算の怖さ その2
粉飾決算には、様々な手口があります。まず、最もやっかいなのは、税務署に出す決算書は本来の赤字の決算書で、金融機関に出す決算書は黒字で、と決算書を2つ作るケースです。粉飾決算は、どのようなやり方であってもやってはいけないのは言うまでもありませんが、この決算書を2つ作るというのは、かなり重症の部類です。といいますのは、もう、絶対に2つのつじつまを合わせることはできませんので、いつかは粉飾をしていたことを白状するよりありません。結果、会社の信用を落とすことになってしまうでしょう。
また、ひとつの決算書で粉飾するケース、これも色々と問題がでてきます。ここで、Q&Aです。
Q 粉飾決算をしてしまいました。わからないように、正しい決算書に直すことは可能ですか?
A ほとんどできません。
といいますのは、簿記を知っている方であればわかるのですが、簿記というのは1つの事象について、2面をみるという特徴があります。たとえば、ありもしない売掛金を計上してしまっていて、正しくしようとすると、売掛金をなくするときに、なぜ、売掛金がなくなりましたかということが、経理上問われることになります。普通は、値引きしたのでなくなりましたとか回収が済んだので売掛金がなくなりましたとか、倒産したため回収できなくなりました、と経理するわけです。粉飾決算していた場合は、過去にありもしない売掛金を載せたために今、売掛金がなくなりました、と経理することになってしまいます…。
また、単独で、売掛金を2期分の決算書をならべても、極端に増減があると、その時点で疑問に思われます。
前回も書いたとおり、粉飾は百害あって一利なしです。数字をいじりたくなったら、将来の会社や役員の責任に対するデメリットを十分に考えて踏みとどまるようにしましょう。
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