贈与税回避事件の解説 最終回 ~租税公平主義と租税回避~

今回の裁判では、前回までのお話の通り、脱税ではなく租税回避として税金を課税することは難しいということになります。課税できないのはおかしいから税金を取るということは税金の世界では難しいのです。

しかし、税金のもうひとつ重要な考え方のひとつとして、租税公平主義という考え方があります。
税金にかかわらず、日本では「法の下の平等」(憲法14条)という概念があります。本来は、税金の払える能力がある方が税金を逃れるのは本来、不平等ではないかということになってしまいます。

よって、最高裁の裁判官も相当判断に悩んだようです。

贈与税を逃れるために海外に移住するのは、税金の払える能力があるのに、課税できないのは、あまりに不公平である。でも、租税法律主義の考え方から(財産権の侵害になるので税金をとるには法律が必要)、課税できず立法(法律)にゆだねるしかない。

と裁判官の一人は意見を述べています。

やはり、財産権の侵害規範としての性格上、このような結論になるのはやむを得ないでしょう。
その点では、この裁判の判決には賛成です。

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