よくある質問~不動産の売却~

最近、亡くなった方から相続で取得した不動産を売却した場合、所得税と住民税はどのようになりますか、とよく質問を受けます。守秘義務があるので、一般的な事例から。

土地・建物を売却した場合は、まず、売却した金額から、取得費(土地の場合は買った金額。建物の場合には買った金額から一定の算式で計算した現在の価値の金額)と譲渡にかかった費用を引いて利益を出します。その利益に、所有していた期間に応じて、長く所有していれば 所得税15% 住民税5% 短い所有であれば 所得税30% 住民税9%の税率を適用した金額が納税額となります。

申告するにあたって、売却した金額や、買った金額、時期(所有期間によって税率がかわるため)、譲渡にかかった費用の資料が必要なわけですが、ここで、相続でもらった場合、買った金額や時期は、どうなるかということですが、実は、この場合、亡くなった被相続人が買った金額と時期を引き継ぐことになっています。これが、なかなか資料が出てこないんですね…。なんせ、亡くなった方がどこに買った時の資料を保管しているかわかりませんし、そもそも、このようなケースは、相当古くに買った場合も多くて、本当に資料があるかどうかも…。

で、買った金額がわからないとどうなりますか? となる訳ですが、この場合、売った金額の5%で買ったことになります(買った金額がわかっている場合でも使用することができます)。例えば、500万円で売った場合、その5%、25万円で買ったことになり、譲渡費用がないと仮定して、475万円もの利益が出て、長期保有していても、所得税、住民税合わせて95万円もの税金がかかってしまいます。

最近、遺言書やエンディングノートなどが注目されています。そのときには、将来、税務上、不利益を受けないためにも、このような書類関係もしっかりと整理しておく必要がありますね。

※譲渡にかかる税金は、居住用の不動産を売った場合、国や地方公共団体から収用などがあった場合、一定の不動産の買換えをした場合、相続税を支払って取得した不動産など、一定の控除や軽減の税率を使えたりする場合があるなど、適用関係が大変複雑です。不利益を被らないためにも、事前に調べたり、税務署や専門家に確認するようにしましょう。

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