粉飾決算の怖さ その3

今月は、連休もあり、バタバタした日が続いておりますが、みなさんは、いかがお過ごしでしょうか。新型インフルエンザもとうとう北海道上陸で、猛威をふるってきてますね。自営の人は病気で寝込むことも許されず、とても気がかりですね。

さて、粉飾決算の怖さシリーズ? 最終回です。前回まで、粉飾を決算するとどうなってしまうのかということを書いてきましたが、今回は、粉飾をしてしまったときに直す際のペナルティです。

粉飾決算をしてしまうと、本来赤字であるにもかかわらず、黒字にしてしまうことから本当は払わなくてもいい税金を支払うため財政基盤を弱くする原因となるというお話をしました。では、粉飾をしてしまった場合、後で本来払わなくてもいい税金を取り戻すための手続はどうするのでしょうか。

実は、税法においても粉飾決算には厳しいペナルティを課しています。税法では、税金を取りもどすには、確定申告において正しく経理をして、一定の書類を税務署に提出してくださいと定めています。しかも、その多く払いすぎた税金は、すぐには還付しません、一定期間は、税金が発生する都度、それに充当していきます、という規定になっています。

また、よくあるQ&Aです。

Q 3年前から、粉飾により、正しい決算書となっておらず、その数字で確定申告をしてしまいました。3年前の決算書から正しい決算書に直したいのですが可能でしょうか。

A 過去の決算書は原則として直すことはできません。今、現在の経理で修正することになります。

これは、一般の方からみると、なぜ?と思われると思います。過去に、何度か質問され、答えに非常に難儀しました。ここでは、内容は省略しますが、株主総会を通り、確定申告書を提出した、過去の決算書は、原則として直せないと思ってください。会計と申告書の関係などの知識も必要なので、詳しく知りたい方は声をかけてください…。

粉飾決算をしてしまうと、そもそも、月次決算をはじめとする、経営指標としての機能を全く果たさなくなり業績管理に役に立たなくなります。その意味で、経理をすることも、顧問税理士に頼むことすら無駄なコストとなってしまいます。正しい現状を知ることから、経営改革、意識改革は進むものだと考えましょう。 

本気になったら…

最近、何名かの知り合いの方から電話が来て、大原簿記学校で勉強したいんですけど、大原で勉強して税理士になった人の名刺を出すと割引になるので、名刺を出してもいいですかと聞かれました。

キャンペーンをしているみたいですね。どの講座が割引対象になるのかは、わかりませんので、詳しくは、学校へ問い合わせてみてください。

私の名刺が必要な方は、ご連絡いただければと思います。

本気になったら大原!!

粉飾決算の怖さ その2

粉飾決算には、様々な手口があります。まず、最もやっかいなのは、税務署に出す決算書は本来の赤字の決算書で、金融機関に出す決算書は黒字で、と決算書を2つ作るケースです。粉飾決算は、どのようなやり方であってもやってはいけないのは言うまでもありませんが、この決算書を2つ作るというのは、かなり重症の部類です。といいますのは、もう、絶対に2つのつじつまを合わせることはできませんので、いつかは粉飾をしていたことを白状するよりありません。結果、会社の信用を落とすことになってしまうでしょう。

また、ひとつの決算書で粉飾するケース、これも色々と問題がでてきます。ここで、Q&Aです。

Q 粉飾決算をしてしまいました。わからないように、正しい決算書に直すことは可能ですか?

A ほとんどできません。

といいますのは、簿記を知っている方であればわかるのですが、簿記というのは1つの事象について、2面をみるという特徴があります。たとえば、ありもしない売掛金を計上してしまっていて、正しくしようとすると、売掛金をなくするときに、なぜ、売掛金がなくなりましたかということが、経理上問われることになります。普通は、値引きしたのでなくなりましたとか回収が済んだので売掛金がなくなりましたとか、倒産したため回収できなくなりました、と経理するわけです粉飾決算していた場合は、過去にありもしない売掛金を載せたために今、売掛金がなくなりました、と経理することになってしまいます…。

また、単独で、売掛金を2期分の決算書をならべても、極端に増減があると、その時点で疑問に思われます。

前回も書いたとおり、粉飾は百害あって一利なしです。数字をいじりたくなったら、将来の会社や役員の責任に対するデメリットを十分に考えて踏みとどまるようにしましょう。

粉飾決算の怖さ その1

先日、クライアント様を訪問すると、ブログ、全部読み終わりましたよ。その続き、なかなか更新されませんよ(笑) と嬉しい、ご指摘を受けましたので、更新します。

その訪問時、粉飾決算についてのお話をしましたので、そのことについて書きたいと思います。当然ですが、そのクライアント様が粉飾の相談をされたということではありません(笑)

私は、新しく関与させていただく時には、脱税や粉飾決算はどうしていけないのか、脱税や粉飾決算をするとどうなるのかというお話をさせていただくことがあります。今回のお話は、粉飾決算ですが、粉飾決算とは本来の決算書上の数字より、数字改ざんしてよくみせることをいいます。こんな決算書では、銀行に出せない(借入れができない)と数字を改ざんし粉飾決算をしてしまう場合などです。

しかし、本来の決算書の数字に手をつけて借入をしたりすると、もちろん違法行為ですから、その事実がわかると損害賠償の対象となります。さらに、粉飾決算は通常、赤字であるにもかかわらず黒字にしていることも多く、この場合、余計な税金を支払うことになります。本当は、赤字で手元にお金がないにもかかわらず、税金を払うわけですから、これだけでも、企業の財政基盤がおかしくなってしまうのはいうまでもないでしょう。

当然のことですが、資格ある税理士や公認会計士は、粉飾決算はしないですし、当事務所においても粉飾決算の作成相談は禁止事項としています。会社が、違法行為をして社会的信用をなくし、また、余計な税金を払わせ会社の財政基盤がおかしくなることを喜んで引き受ける人はいないでしょう。

また、いったん粉飾決算をしてしまうと、後にも述べますが、粉飾を継続して行うことになってしまい、長年続けると財政基盤もボロボロになってしまいます。このことから、粉飾は○○のようなものという表現があります。あまりに社会的にタイムリーなので伏せ字としましょう(笑) 事前の節税、事後の脱税という言葉もいいましたが、粉飾についても同じことがいえます。毎月、月次決算を行い、業績管理をし間違っても粉飾には手を染めないようにしましょう。

政権交代

先日の選挙では、民主党が圧勝していよいよ政権交代となりました。しかし、過去の負の遺産も多く、改革も大変でしょう。年金財政、国の借金800兆、プライマリーバランス(国の歳入から歳出を引いた額)の黒字化、失業者対策(今は過去最低の失業率)など困難を伴うものが多いです。過渡な期待はせず、国で行うものは国で、地方で行うものは地方で、個人で対策をするものは個人で、という意識で取り組んでいきましょう。

子供手当の支給、高速道路の無料化、最低賃金の平均1,000円としてのワーキングプア対策、中小企業の法人税率11%などバラ色の対策が多いですが、毎年のプライマリーバランスの赤字は30兆円。国債を発行することによって賄われていますが、徹底的な見直しをもってしても、社会福祉の費用も多くなることから、将来の増税は避けられないでしょう。しかし、今は経済、雇用、年金、医療、早急に立て直しが最重要。鳩山政権に期待したいと思います。

年金通帳という制度もいいですね。どうやら預金通帳のように記録されるような感じになるとのことです。これは、そう実現困難ではないので対応してほしいですね。これだけ消えた年金が問題になったのですから将来また繰り返してはいけないので。

今ある、年金手帳、私も疑問に思っていました。転職したりして、国民年金から厚生年金、または厚生年金から国民年金に切り替えるとき年金手帳を持って行って手続きをするわけですが、これになにか記録してくれるものだと思っていました。受付の方に聞くと、ご自分で書いておいてくださいというのです。何の証明にもならないじゃないですかと聞くと、そういうものです、というのです(笑) 年金手帳で記録をしっかりと合わせていればこのような事態は避けられたかもしれませんね。

いずれにしても、今後の民主党政権に期待したいと思います。

税務支援対策部

今日は、日常業務が終わった後、異業種の会合に参加してきました。仕事に対する想いや、お客様に対する対応など、それぞれ業種が異なるものの共通する想いがあり、波長の合う方との話し合いは、参考になり、やる気も湧いてきます。今日は、色々と勉強になる話が聞けました。

さて、今日は、昨日、日常業務の他にどのような活動をしているのかのご紹介をしましょうとお話しましたので、今回は、税務支援対策部委員から。私が、税務支援対策部の委員になったのは平成17年ですから、もう4年目ですね。

個人の確定申告時期の2月~3月、税務署で確定申告書の書き方などを相談に乗っているのテレビで見たこのとのある方や、実際に申告会場に行ったことのある方もいらっしゃると思います。この相談に乗っている方は、税務署の職員の方と思われている方も多いと思いますが、実は、税理士が応援に行って確定申告の作成相談に当たっているのです。その他にも、小規模な事業者さんの記帳指導や確定申告のセミナーなどという活動もあり、このような公的な活動を税務支援と呼んでいます。税理士も一個人事業者ではありますが、公的な資格なので、このような公的な活動(税務支援)も大事な税理士活動のひとつです(税理士一人につき何日は携わらなければならないと決まりがあります)。

その税務支援を企画(税務署とのやり取り)したり、その日程を決めたり苦情の対応をしたり、確定申告のセミナー講師をしたりするのが、税務支援対策部です。いよいよ来月から、個人の確定申告の税務支援の開催に向け会議が始まります。

税務支援に、当たる税理士の方も色々あり対応のいい方や、残念ながらそうでない方もいらっしゃいます。税理士の仕事はサービス業であり、このような公的な活動も重要なので、それを肝に銘じ対応していかなければなりませんね。

TKC札幌東支部総会

今日は、仕事が終わり夕方に、TKC札幌東支部の総会に参加してきました。TKCとは、簡単にいうと、職業会計人(税理士、会計士)が集う任意団体です。

独立開業して、2年目に入った訳ですが、本日よりTKC札幌東支部の研修委員長を任せられることになりました。とは言っても、どんなことをするかなど、ビジョンはまだまだ考えていないのですが…。いい経験にもなりますし、与えられた職務を果たすべくがんばって行きたいと思います。

これで、税理士会の審議室委員税理士会札幌北支部の税務支援対策部を含めて3つ目の役職となりました。

と、ずらずらと役職名を書いても何のことか分からないと思いますので、次回以降、税理士が通常業務の他にどのような活動を行っているのかを書き綴って行こうと思います。

事業承継

2007年からの、団塊の世代の一斉退職が話題となって久しいですが、中小企業の社長も同年代の方が多く、事業承継が一つの問題となっています。中小企業といいましても、そこに働いている方も多くいらっしゃいますし、また、せっかくのノウハウを一世代で終わらせるのは創業社長にとっても本意ではないでしょう。

中小企業の現状はご存じの通り非常に厳しく、ほぼ、全企業の7割は赤字とまで言われています。1986年には、532万社あった中小企業も2006年には420万社まで減少しています(中小企業白書2008年度版)。この数字をみても中小企業の厳しさがわかりますが、事業縮小や廃業理由は、必ずしも業況や市況のみならず、継者がいないことによるものも多いのです(中小企業2007年度版)。

私の事務所のクライアントについても事業承継に取り組んでおられる企業があります。事業承継といいましても、すぐに経営をバトンタッチする訳には行きません。経営のこと、営業のこと、資金繰りのこと、社長の会社に対する思いを承継すること、従業員に対する対応、後継者となる方には様々な勉強をしなければなりません。このことを社長が短期間で伝えようとするのは無理なことですし、また、社長が、ずっと、一線を張り、突然、後継者に継ぐというのは、後継者にとっては大変なことです。

事業を承継するには、5年10年という長いスパンで、社長と後継者が並走して、事業を行い、共有する理念や目標を立て、社長の会社に対する想いを伝えながら、徐々に後継者に権限を譲り渡すというのが望ましいのです。

昨今の家庭環境では、家業を長男が継ぐなどという概念もなくなりつつあり、事業承継者自体を探すのも困難なケースもあり、従業員が継ぐケースやM&Aを視野に入れないとならないケースもあるでしょう。しかし、せっかく社長が育ててきた会社を一世代で終わらせたいとは思わないでしょうし、守らなければならない従業員、取引先、顧客がいますから、決して避けて通れない問題です。

事業承継は、緊急でないけど大切なことに他なりません。もし、会社の将来を考えないでおくと、この問題は必ず、緊急で大切なことに変わってしまうでしょう。しかし、事業承継は、緊急で大切なことになった瞬間に手遅れな状況になってしまいます。忙しい毎日ですが、ほんの一瞬でも、会社の将来についても考えてみましょう。

夢に日付を!

今日は、仕事の終わった後、今、正に夢に向かって走りだそうという方が相談のため来所されました。若手の専門家の方なのですが、いいですね、前向きの話は。

やはり一度しかない人生、いろいろなものにチャレンジしたいですね。そのために重要なのは、夢に日付を入れることでしょう。「夢は実現すべきもの。夢に日付を入れて、今日の行動を変えるところから始めよう」とは、渡邉会長の言。いつまでに実現すると明確にすれば、おのずと今やるべきことが見えてくる、とは本当にそうですね。

数字の専門家だから言うわけではないですが、勉強にしても仕事にしても、経営にしても、必ず数字で落とし込むのが何よりも大切なことですね。ただ単にがむしゃらにがんばるより、経営者なら売上をいくらにしよう、営業マンなら契約を何件とってこよう、勉強なら〇級の資格を取ろうなど、数字に落とし込んだほうがより現実な行動に移しやすいでしょう。最近、ウサイン・ボルト選手が100mを9秒58という驚異的な世界新をマークしましたが、これもやはり数字という目標があってこそですね。

さて、私は、色々な勉強をするのも好きで、特に資格は、1という数字にこだわっています。ただ、平成19年に取ったビジネス法務検定試験、これがまだ3級なんですね…。忙しさにかまけて、1級を目指すのが頓挫してしまっています。いつかは、これを1級に…。いや、いつかではダメなんですね…日付を入れなければ…(笑)

仕事において大切なもの

今日は、一日事務作業でしたが、P生命の方と仲間の司法書士の先生の3人で、昼食会をしました。情報交換と意見勉強などを兼ねてです。この2人の方とは付き合いは、古く、私が税理士になった初期のころに出会ったのでもう、かれこれ5年くらいになるのでしょうか。

P生命の方から、お話をされ、目からウロコのお話があります。そのことは、著名人や私のバイブルのひとつである「夢に日付を」(ワタミ株式会社 会長 渡邉美樹著)にも同様のことがかかれており、仕事のできる方にとっては基本的な考え方なのでしょう。

その内容は、仕事の優先順位や何が大切かという内容なのですが、仕事には、まず大きく4つに分類されます。その4つとは、「緊急で大切なこと」、「緊急だけど大切でないこと」「緊急でないけど大切なこと」、「緊急でなくて大切でもないこと」の4つです。

この中で仕事において一番重要なのはどれでしょうか。もちろん、それは、「緊急で大切なこと」ですね。目の前で起こっているクレーム処理、問題解決に当たらなければならない事案は、当然、早急に対応しなければ顧客満足を得ることはできません。では、次に手を付けなければならない仕事はどれでしょうか。4つのマトリックスを意識しなければ、恐らく「緊急だけど大切でないこと」と思ってしまいがちですが、次に優先すべきは、「緊急でないけど大切なこと」ですね。

ここで、何に一番時間をかけなければならないのか、仕事のできる方は口を揃えて、「緊急でないけど大切なこと」にもっとも時間を割くべと言います。つまり、クレームの起こらない仕組み作り、仕事を効率よくできる仕組み作りなど、「緊急でないけど(今、何か問題が起こっているわけではない)大切なこと」に重点的に取り組んでいかなければ、将来「緊急で大切なこと」に、どんどん仕事が流れていき対処できなくなってしまいます。これでは、物事が発展していきません。緊急でないけど大切なことを後回しにすればするほど、将来、緊急で大切なことに追われることになってしまいます。

当事務所も、おかげ様で、1周年を迎えました。まだまだ、緊急で大切なことに追われて仕事をしていますが、2年目は、緊急でないけど大切でないことを重点的に捉え、皆様から喜ばれる会計事務所にすべく、システム作り、組織作りにもチャレンジしていこうと思います。